洋学史学会若手部会

洋学史学会に所属する大学院生・学部生を中心とする若手部会です。

【洋学史学会若手部会10月例会(第14回)】開催案内

第14回洋学史学会若手部会の例会を開催いたします。

ご関心のある方は、この機会に是非お越し下さい。

(お問い合わせ先:洋学史学会若手部会 yougakushi.wakate@gmail.com)

 

洋学史学会若手部会10月例会(第14回)】

日時:2019年10月5日(土)14:00〜18:00

会場:電気通信大学東1号館8階806会議室

参加資格:なし。事前登録制(登録はコチラ

 

14:00〜15:30 報告①

 川島丈尚(東洋大学大学院博士前期課程)
「写真師島霞谷と島隆―写真研究と化学を読み解く―」(仮)

15:50~17:20 報告②

 都築博子(静岡理工科大学非常勤講師)
箕作阮甫の海外情報」(仮)

18:00〜20:00 懇親会(調布駅周辺)

  

【第13回若手部会】内容報告

洋学史学会若手部会8月例会(第13回)を開催いたしました。今回は、会員2名による研究報告および臨時総会を開催しました。以下にその概要を報告いたします。

日時:2019年8月3日(土)14:00〜18:00

報告①

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報告者:渡邊奨太(立花学園高等学校地歴公民科非常勤講師)
題目:伊豆韮山代官江川英龍の海防構想―伊豆諸島防衛論・下田防衛論を中心に―

 本報告は江川の海防建議書を検討することにより天保後期からペリー来航までの江川の海防構想の全容を明らかにする試みであった。水野が老中であった天保後期においては海上輸送に重要な位置を占める伊豆諸島の海防を唱えていた江川であったが、阿部が老中首座となり、嘉永2年にマリナー号事件が勃発して以降は下田港の海防強化に力点を移した。江川は農兵の設置、大名駐屯体制の提案、台場建設、和蘭通詞設置(下田)など積極的かつ頻回建議書を提出しており、それらについて「江川家文書」を史料として詳細な報告がなされた。
 フロアからは本報告では天保後期からの海防構想が中心となっているが前期を含めないで構想全体を描き切れるのかと言った指摘や反射炉が下田から韮山に移った経緯、和蘭通詞設置に関する詳しい状況、農兵採用の意義などについて質問がなされた。

 

報告②

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報告者:塚越俊志(東洋大学非常勤講師)
題目:薩摩藩の蝦夷地、及びロシア認識について
 

 本報告では薩摩藩が蝦夷地に対していかなる認識をもって開拓・海防に臨んだか、またその情報収集はどのように行われたかが検討された。当初、薩摩藩の蝦夷認識は琉球より蝦夷地に危機感を抱いていた島津斉彬を中心に展開された。斉彬没後、しばらく顧みられることがなかったが明治期に黒田清隆が開拓使長官となり、斉彬の構想を受け継いで開発、防衛など北海道の近代化に貢献した。情報入手に関しては嘉永3年という斉彬藩主就任前の早い段階で北方を探索し『東北風談』を著した肝付兼武の活躍が顕著で吉田松陰等にも影響を与えていることが報告された。
 フロアからは函館奉行と薩摩藩の関係性、黒田と肝付の関係等の質問が出されたほか、有力藩が開拓に関わらなければならない状況で、どの藩が開拓し、どのように土地を分けたのか等今後明確にする必要性が指摘された。

                               (文・西留いずみ)

【洋学史学会若手部会8月例会(第13回)・臨時総会】開催案内

洋学史学会若手部会8月例会(第13回)および臨時総会を開催いたします。

ご関心のある方は、この機会に是非お越し下さい。

(お問い合わせ先:洋学史学会若手部会 yougakushi.wakate@gmail.com)

 

【洋学史学会若手部会8月例会(第13回)&臨時総会】

日時:2019年8月3日(土)14:00〜18:00

会場:電気通信大学東1号館8階806会議室

参加資格:なし。事前登録制(登録はコチラ

 

14:00~15:30 報告①

渡邊奨太立花学園高等学校非常勤講師)

「伊豆韮山代官江川英龍の海防構想ー伊豆諸島防衛論・下田防衛論を中心にー」

 

15:45~17:15 報告②

塚越俊志(東洋大学非常勤講師)

薩摩藩蝦夷地、及びロシア認識について」

 

17:30〜18:00 臨時総会※

18:30〜20:30 懇親会(調布駅周辺)

 

※臨時総会は若手部会正会員のみ参加可能です。何卒ご了承ください。

【第12回若手部会】内容報告

第12回若手部会を開催いたしました。今回は、会員2名による研究報告でした。以下にその概要を報告いたします。

日時:2019年6月1日(土)14:00〜17:30

報告①

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報告者:藤本健太郎長崎市役所観光部長崎学研究所学芸員

題目:「古賀十二郎の洋学史研究―『長崎市史』編集委員としての活動を通じて―」

 

 本報告では、地域史料の保存と開港350周年記念事業のため実現された『長崎市史』の編纂事業について、編纂委員の一人であった古賀十二郎(1871-1954)に焦点を当てた考察がなされた。古賀は、『長崎市史』のなかでもとりわけ評判を得た風俗編及び洋学編の編纂を担うなど、同書編纂事業において大きな役割を果たしたことが紹介された。さらに、事業期間の遅延や財政上の問題から批判にさらされた『長崎市史』の編纂事業であったが、東京帝国大学史料編纂掛を中心としたアカデミズム史学と相互に影響を与え合うこととなり、その後の古賀の研究活動に大きく寄与したことが指摘された。

 

 質疑応答では、『長崎市史』編纂にあたっての編集委員選定の方法や、資料収集とその後の処置についての質問が出た。また、昭和期に計画が大幅に遅延した理由について疑問が挙げられ、発表者からは報酬形態の変化が一因ではないかとの答えがあった。このことについてフロアからは、太平洋戦争の影響もあるのではないかとの指摘がなされた。

 

 

報告② 

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報告者:堅田智子(流通科学大学講師)

題目:「上智学院第2代、第7代理事長クラウス・ルーメルの見た学生運動 ―上智大学史資料室所蔵資料を用いた学生運動研究の可能性―」

 

 本報告では、上智大学における学生運動について、ドイツ人イエズス会士クラウス・ルーメル(1916-2011)が寄贈し、現在上智大学史資料室に所蔵されている「ルーメル・コレクション」を用いた考察がなされた。上智大学の学生運動について、当時の雑誌報道などによる一般的な認識と、ルーメルの学生運動に対する認識が対照され、期間に認識の相違があることなどが指摘されたほか、ルーメルが学生運動のメカニズムを分析し、対話により学生を導くことによって学生運動を収束させようとしていたことが明らかにされた。また、「ルーメル・コレクション」から、当時の学生が作成したビラや、校舎の被害状況の記録など多岐にわたる資料が紹介された。

 

 質疑応答では、ドイツの学生運動について質問が出たほか、大学史研究においては経営史と教育史を分けて論じるべきである、との意見があった。さらに、学生運動に参加した上智大学生について、他大学の学生とどのような思想的交渉があったかということも重要な論点に成り得る、との指摘もなされた。
                             (文・谷地彩)

【洋学史学会若手部会6月例会(第12回)】開催案内

第12回洋学史学会若手部会の例会を開催いたします。

ご関心のある方は、この機会に是非お越し下さい。

(お問い合わせ先:洋学史学会若手部会 yougakushi.wakate@gmail.com)

 

【第12回若手部会】

日時:2019年6月1日(土)14:00〜17:30

会場:電気通信大学東1号館8階806会議室

参加資格:なし。事前登録制(登録:https://forms.gle/qUthViHHPRSZu4cP7

 

14:00〜15:30 報告①

藤本健太郎長崎市役所観光部長崎学研究所学芸員

古賀十二郎の洋学史研究―『長崎市史』編修委員としての活動を通じて―

 

15:45~17:15 報告②

堅田智子(流通科学大学講師)

「第二代、第七代上智学院理事長クラウス・ルーメルの見た学生運動上智大学史資料室所蔵資料を用いた学生運動研究の可能性ー」 

 

17:15~17:30 諸連絡

 

18:00〜20:00 懇親会(調布駅周辺)

 

【第11回若手部会】内容報告

第11回若手部会を開催いたしました。今回は、会員2名による研究報告でした。以下にその概要を報告いたします。

日時:2019年4月6日(土)14:00〜18:30

14:00〜15:00 総会

報告①

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報告者:武正泰史(東京大学大学院博士前期課程)

題目:「久留米藩主有馬頼徸と和算書『拾璣算法』について―大名の数学に迫る―」

 和算家である久留米藩七代目藩主有馬頼徸(1714~1783)はこれまで関孝和以降の数学の秘伝を世に公開した人物と評されてきたが、多くの著作に関し書誌学的研究や著作間の関連についての探究が不十分であった。それを踏まえ本報告では頼徸の著作類を一覧にして整理し、唯一の刊本である『拾璣算法』の序跋文を精査しその性質の特定を試みた。

 フロアからは同書のオリジナリティの度合いについての疑問が出され、また解説本の多さから広い流布状況も推察された。同書が豊田文景の名で執筆されていることに関しても種々質問が出たが、発表者による久留米市に現存する『藩士分限張』、『御家中略系譜』の調査からも豊田文景なる人物は発見できなかった一方で、確定的な情報も掴めていなく今後の調査を待つこととなった。また江戸での執筆作が多いことから和算の勉強環境、子弟関係についても話題に上り、頼徸の出自を考慮する必要性にも議論が及んだ。

報告②

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谷地彩(上智大学大学院博士後期課程)

題目:「タイムズ紙の記者F.ブリンクリーの伝えた明治日本―第四回内国勧業博覧会の記事をめぐって―」

 F・ブリンクリー(1841~1912)は幕末から明治末年まで日本に滞在し、工部大学校教師から英字新聞経営者兼主筆となり、後にタイムズ紙記者として明治日本を英国に精力的に紹介したが、これまで氏についての研究は少なく正当な評価を受けていなかった。本発表では第四回内国勧業博覧会について氏が書いた、日本の工業的成長と今後の日本の商業的発展を予測する記事を通し、明治日本についての貴重な紹介者として氏の活動の重要性が照射された。

 フロアからは氏と同時期に活動したサトウ、ブラック等との関係性、新聞関係の先行研究や氏が経営者兼主筆であった他紙の記事を検討する必要性等について意見が出された。日本での活動については工部大学校関係官僚の調査も提案され、また日英同盟締結期に活動した点からも、氏の記事により英国で日本評価が高まった可能性も指摘された。

                               (文・佐々木千恵)

【洋学史学会若手部会4月例会(第11回)・総会】開催案内

第11回洋学史学会若手部会の例会と総会を開催いたします。

ご関心のある方は、この機会に是非お越し下さい。

(お問い合わせ先:洋学史学会若手部会 yougakushi.wakate@gmail.com)

 

【第11回若手部会】

日時:2019年4月6日(土)14:00〜18:00(「総会」含む)

会場:電気通信大学東1号館8階806会議室

参加資格:なし。事前登録制(登録はコチラ

 

14:00〜15:00 総会※

 

15:10~16:40 報告①

武正泰史東京大学大学院博士前期課程)「久留米藩主有馬頼徸の数学-『拾璣算法』を例に-」

 

17:00~18:30 報告②

谷地彩(上智大学大学院博士後期課程)「内国勧業博覧会とF.ブリンクリー」

 

19:00〜21:00 懇親会(調布駅周辺)

 

※総会は会員のみ。(報告のみ参加の方は15:00よりお越しください。)