今回は、洋学史学会若手部会会員で長崎市文化観光部長崎学研究所学芸員藤本健太郎氏に、長崎市発行の歴史研究誌情報について、ご紹介いただきました。
『長崎新聞』2020年6月21日付朝刊に、長崎県内の博物館や研究機関が発刊した歴史研究誌4冊に関する紹介記事が掲載されました。この中で当会会員2名(堅田智子氏:『鳴滝紀要』、藤本健太郎:『長崎学』)の翻訳および論文が掲載されていますのでご紹介します。
堅田智子氏の翻訳「男爵アレクサンダー・フォン・シーボルト『公爵伊藤博文に関する個人的回想』」が掲載されている長崎市シーボルト記念館の機関誌『鳴滝紀要』は、これまでシーボルト及びその門人たちに関する研究、洋学に関する研究成果を数多く掲載してきた雑誌です(既刊30号)。
過去の掲載論文等の一覧が以下のとおり公開されています。
https://www.city.nagasaki.lg.jp/kanko/820000/828000/p009233_d/fil/kiyo2020.pdf
同じく長崎市が運営する長崎市長崎学研究所でも機関誌として『長崎学』を発行しています(既刊4号)。最新刊には、藤本健太郎の論文「長崎連合町会の開設と展開」が掲載されています。
『長崎学』では古代から近代まで長崎をキーワードの一つとした歴史及び文化に関する研究成果を幅広く対象として、長崎市に所属する職員のほか、外部の学術研究者からも論文等を寄稿いただいています。
『長崎学』では第2号までの論文等を一部データ公開しています。
https://www.city.nagasaki.lg.jp/syokai/720000/724000/p028544.html
長崎市役所では現在、『鳴滝紀要』と『長崎学』の2つを歴史研究誌として刊行しています。いずれも洋学関連の研究を多く収録しておりますので、ぜひともご覧ください。
(長崎市文化観光部長崎学研究所学芸員 藤本健太郎)
ご存じのとおり、長崎は「四つの口」の一つとして、江戸時代でも海外に開かれた場所でした。単に地方史にとどまらず、洋学という広い視点から長崎やその歴史を「長崎学」としてとらえ直す試みは、古くから開明的な長崎らしい取り組みではないでしょうか。
※長崎学とは…
長崎学とは、長崎港を中心に発展してきた長崎市域を出発点とする、長崎の歴史や文化に関する学問・研究と定義しています。
大正から昭和にかけて活躍し、『長崎市史風俗編』、『長崎洋学史』などの著作で知られる古賀十二郎先生をはじめとして、現在に至るまで大学、博物館、郷土史研究団体を中心に、数多くの長崎学に関する研究が発表・蓄積されてきました。
*長崎市HP文化観光部長崎学研究所より引用
https://www.city.nagasaki.lg.jp/soshiki/129/190300250/index.html
(流通科学大学商学部講師 堅田智子)