洋学史学会若手部会

洋学史学会に所属する大学院生・学部生を中心とする若手部会です。

【洋学史学会若手部会2月オンライン例会】開催案内

洋学史学会若手部会では引き続き、オンラインでの例会を開催致します。
2月例会は下記日程にて、オンライン例会を開催致します。どなたでもご参加頂けますので、ご関心のある方はふるってご参加ください。

【洋学史学会若手部会2月オンライン例会】
◆2月13日開催
日時:2021年2月13日(土)14:00~15:00(例会終了後に茶話会を予定)
会場:参加者にURLを送付
参加資格:なし ※会員・非会員にかかわらずご参加いただけます

ただし、事前登録制
※2月11日(木)17時入力締切
例会準備の関係上、2月に開催される2回分の参加可否をまとめてとります。入力後に変更が生じた場合は、期日までにフォームを編集するか、部会運営まで個別にご相談ください。

報告者:岸本萌里(東洋大学大学院文学研究科博士前期課程)
報告タイトル:「三条実万の異国船対応と京都警衛問題―嘉永6年から7年の朝幕交渉を中心に―」(仮)

【要旨】
 三条実万(1802-1859)は幕末期の公家で、天保4年(1831)から弘化4年(1847)には議奏を、嘉永元年(1848)から安政4年(1857)までは武家伝奏を務めた人物である。実万が朝廷の政務の中心を担った天保~安政期は異国船の渡来が相次いだ時期でもあり、朝廷は対外問題に対処しなければならなかった。故に実万も朝廷制度改革や対外問題への対処に当たっていたことが知られている。
 しかし、実万の海外情報に対する理解については、安政期に京都で入説を行なっていた福井藩士橋本左内の評価などを元に「令格旧套不脱却人」であると考えられてきた。そのため、対外問題への対処を担った実万が得た情報や、実万自身が持つ意見についてはほとんど注目されることがなかった。特に後の問題となる京都警衛問題について、近年は安政期を中心に大坂湾の防備や台場などの実態が明らかにされつつあるものの、朝廷の意向については考慮されず、また嘉永期の公家の動向にも言及されてこなかった
 本報告では、実万が議奏・武家伝奏を務めた際の関連史料が残る国立国会図書館憲政資料室所蔵「三条家文書」を使用して、ペリー来航後の実万の動向と京都警衛に関する実万の意見についての考察を試みたい。

【参考文献】
家近良樹『幕末の朝廷―若き孝明帝と鷹司関白』(中央公論新社、2007年)
鈴木栄樹「「京都御備」としての安政期の湖北通船路開鑿事業 ―彦根藩と小浜藩との対立を軸とした通説の根本的再検討を通じて―」(『人文学報』104号、2013年)
後藤敦他編『幕末の大阪湾と台場―海防に沸き立つ列島社会―』(戎光祥出版、2018年)
後藤敦史「幕末期における幕府の大坂湾防備対策と堺台場―川村修就と勝海舟に注目して―」(『ヒストリア』280号、2020年)

 

◆2月27日開催
日時:2021年2月27日(土)14:00~15:00(例会終了後に茶話会を予定)
会場:参加者にURLを送付
参加資格:なし ※会員・非会員にかかわらずご参加いただけます

ただし、事前登録制
※2月11日(木)17時入力締切
例会準備の関係上、2月に開催される2回分の参加可否をまとめてとります。入力後に変更が生じた場合は、期日までにフォームを編集するか、部会運営まで個別にご相談ください。

報告者:藤本大士(名古屋経済大学非常勤講師)
報告タイトル:「19世紀後半の日本におけるアメリカ人医療宣教師と医学教育」

【要旨】
 明治初年より、日本ではドイツの医療制度や医学教育をもとに医学の近代化が進められてきた。しかし、明治期に来日した医師の出身国をみてみると、ドイツよりアメリカの出身者の方が多かったことがわかる。彼らアメリカ人医師の多くは、医療宣教師(医師であり、キリスト教の宣教師であった)と呼ばれる人々であった。先行研究では、明治初年から1945年までドイツの医学が日本で支配的であったことがしばしば議論され、そのため、日本人医師・医学生のドイツ留学やドイツ人による日本での医学教育などが詳しく研究されてきた。それに対し、この時代にアメリカ人医師たちがどういった活動をおこなったかについては十分に明らかになっていない。本報告では、19世紀後半のアメリカ人医療宣教師の活動を、とくに医学教育との関わりに注目して検討したい。

【参考文献】
田中智子『近代日本高等教育体制の黎明——交錯する地域と国とキリスト教界』思文閣出版、2012年。
藤本大士「幕末・明治初年における3人のアメリカ人医療宣教師について」『洋学』23号、2016年、89–114頁。
藤本大士「1880–1890年代の日本におけるアメリカ女性医療宣教師の活動」『日本医史学雑誌』64巻3号、2018年、223–239頁。
藤本大士「明治初期大阪におけるアメリカ人医療宣教師と医学教育」『科学史研究』292号、2020年、318–333頁。
Hiro Fujimoto, "Women, Missionaries, and Medical Professions: The History of Overseas Female Students in Meiji Japan," Japan Forum, 32(2), 2020, pp. 185–208.