洋学史学会若手部会

洋学史学会に所属する大学院生・学部生を中心とする若手部会です。

【開催案内】洋学史学会若手部会12月例会 ※プログラム変更※

洋学史学会若手部会では、下記の通り12月例会を開催します。
ご関心のある方はふるってご参集ください。
※対面・オンライン併用開催です。

◆洋学史学会若手部会12月例会(Zoom併用)
日時:2023年12月17日(日)14:00〜17:10 ※終了後に茶話会を予定
会場:関西学院大学梅田キャンパス(大阪府大阪市)1401教室
(Zoom URLは後日、レジュメと同時に配布予定)
*対面会場が通常と異なります。ご注意ください。
アクセス | 関西学院大学 大阪梅田キャンパス

事前登録制、登録はこちらから。

forms.gle※12月3日(日)申込締切

内容(敬称略)

研究報告:武正泰史(東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程)
タイトル:「麻田派天文学者による『拾璣算法』の受容」
※報告者変更となりました(11月22日追記)

〈要旨〉
 久留米藩7代目藩主・有馬頼徸(1714–1783)の『拾璣算法』(1766年序・1769年刊)は、当時の様々な数学の知識を集成したものであった。同書は明和6(1769)年に出版されて以降、和算家による解説書の執筆や、書肆による改版が行われており、多くの読者に読まれていたことが推察される。その読者の中には寛政の改暦に関わった麻田剛立(1734–1799)、高橋至時(1764–1804)、間重富(1756–1816)といった天文学者も存在していた。特に麻田剛立は『弧矢弦論解』(写本)、高橋至時は間宛の書簡で『拾璣算法』に言及している。
 本報告では、麻田剛立と高橋至時が『拾璣算法』に言及した2つの史料を分析し、麻田と彼の弟子達が『拾璣算法』に対して、どのように注目し、研究したのかを検討する。これにより『拾璣算法』出版の影響の一端について考察する。
〈参考文献〉
大分県立先哲史料館編『麻田剛立資料集』大分県教育委員会、1999年。


報告:平岡隆二(京都大学人文科学研究所)

タイトル:「キリシタン布教と科学伝来-新発見の宇宙論教科書『スヘラの抜書』を中心に」

〈要旨〉
 2019 年、西洋科学の日本伝来にまつわる新たな重要史料が、ドイツのヘルツォーク・アウグスト図書館(Herzog August Bibliothek。以下 HAB と略称)で発見された。それが、キリシタン時代にイエズス会が編纂した日本語宇宙論教科書『スヘラの抜書』(ペドロ・モレホン編、17世紀初頭?)である。この宇宙論教科書については、ラテン語原典にあたる『天球論 De sphaera』(17世紀初頭?)と、その本文からキリスト教的な言辞を取り除いた改訂日本語訳『二儀略説』(17世紀後半?)の存在が、すでに知られていた。『スヘラの抜書』は、その両書の空隙を埋めるいわばミッシング・リンクにあたり、日本語で書かれた最古の西洋科学書と見られる。本発表では、とくに1)内容と構成、2)成立をめぐる諸問題、3)後代における利用と影響、を中心に、『スヘラの抜書』の歴史的位置づけと意義について考えてみたい。

問い合わせ先:yogakushi.wakate@gmail.com(洋学史学会若手部会運営)