洋学史学会若手部会

洋学史学会に所属する大学院生・学部生を中心とする若手部会です。

【洋学史学会若手部会12月オンライン例会】開催案内

 12月オンライン例会の日程と詳細が決まりましたので、お知らせします。
 どなたでもご参加いただけますので、ご関心のある方はこの機会に是非お越し下さい。(要事前登録:下記参照)
 
【洋学史学会12月オンライン例会】
◆12月12日開催
日時:2020年12月12日(土)14:00~15:00(例会終了後に茶話会を予定)
会場:参加者にURLを送付
参加資格:なし
ただし、事前登録制
※12月10日(木)17時入力締め切り
例会準備の関係上、同月開催される2回分の参加可否をまとめてとります。入力後に変更が生じた場合は、フォーム編集を行うか、運営まで個別にご相談ください。

報告者:濱口裕介(札幌大学女子短期大学部助教)
報告タイトル:「幕末維新期における北海道改号論について」(仮)

【要旨】
 1869年、松浦武四郎の案をもとに新政府は蝦夷地を北海道と改めた。これは、近世の松前蝦夷地地域区分体制の否定であり、同時に国郡制の実施によって蝦夷地が名実ともに日本領に編入された、歴史的に極めて重大なできごととされている。
 しかし、この北海道号の成立事情についてはいまだ検討の余地がある。というのも、近年の研究では道名選定に関わった官吏が武四郎ひとりではないことが明らかにされており、また徳川斉昭をはじめとして、海防への関心と結びついた改号論も幕末期から認められるからである。幕末期以来の道名選定の前史、武四郎以外の人々の動向も視野に入れた上での再評価が必要であろう。
 そこで本報告では、幕末維新期における北海道改号論をめぐる動向を取り上げ、新政府による道名選定の意義について再考したい。あわせて地理学史の成果に学びつつ、近世・近代移行期における日本地理像の変容という問題についても考えてゆきたい。

【参考文献】
榎森進『アイヌ民族の歴史』草風館 2007年
笹木義友・三浦泰之編『松浦武四郎研究序説』北海道出版企画センター 2011年
上杉和央『地図から読む江戸時代』ちくま新書 2015年

◆12月19日開催
日時:2020年12月19日(土)14:00~15:00(例会終了後に茶話会を予定)
会場:参加者にURLを送付
参加資格:なし
ただし、事前登録制
※12月10日(木)17時入力締め切り
例会準備の関係上、同月開催される2回分の参加可否をまとめてとります。入力後に変更が生じた場合は、フォーム編集を行うか、運営まで個別にご相談ください。

報告者:吉岡誠也(東京大学地震研究所特任研究員)
報告タイトル:「明治初年旧佐賀藩士成富清風の清国留学について」(仮)

【要旨】
 成富清風(1838-1882)は佐賀藩の下級藩士で、幕末に藩命により昌平黌に学び、帰藩後は藩主鍋島直大の側に仕えた人物である。維新後は、明治4年(1871)5月に、同藩士福島九成や薩摩藩士小牧昌業ら計6名とともに新政府から清国留学を命じられた。清国滞在中には、同7年の台湾出兵に際して事前に現地調査を行い、詳細な報告書を新政府に提出したことが知られている。
 だが、本来の目的である留学の実態については不明な点が多い。明治新政府が、海外留学政策を積極的に推進したことはよく知られているが、清国留学に関しては研究がほとんどなく、また日中交流史の分野においても、日本人の清国留学の具体像が示されるのは1870年代後半以降である。
 このような研究状況の要因は関連史料の乏しさにあるが、東京大学史料編纂所所蔵「成富清風日記」には、留学期間中の清風の行動が克明に記されている。そこで本報告では、同日記を使用して清国留学の実態について基礎的な考察を試みたい。

【参考文献】
石附実「新政府の留学政策と留学の流行」(同『近代日本の海外留学史』中公新書、1992年、初版1972年)
桑兵「近代の日本人中国留学生」(大里浩秋・孫安石編『留学生派遣から見た近代日中関係史』2009年、御茶の水書房)
拙稿「史料紹介・翻刻 東京大学史料編纂所所藏「佐賀藩土成富清風日記・雑記」について」(『佐賀県立佐賀城本丸歴史館研究紀要』15号、2020年)